森雄二とサザンクロス「三の宮ブルース」(1980 クラウン)

 

以前、外人のお客さんに「HAT神戸」のHATは何の略か?と尋ねられた。

知らなかったので調べてみたら「ホット・アクティブ・タウン」の略だった。

「熱くて元気な街」…その外人さんにずっと大笑いをされて、なんか神戸人として恥ずかしい気分だった。

元からあった街の名前なら仕方がないが、後から作られる街のネーミングを誰が考えるんだろう? 

役所の人間にセンスを求めるのは間違っているかもしれないが、

せめて海外からのお客さんに笑われないような名前を考えられないものだろうか?...

新しい街の名前を一般公募して決めるというのも一時全国的に流行したことがあったが、

選考するのが役所の人間なのだから期待できるわけがない。

どうでもいいような事に予算が組まれ、それが市民の税金ですすめられているというのも問題だ。

 

みうらじゅんが考えたといわれる「ゆるキャラ」ブームも、どうでもいい事のひとつような気がする。

2011年の熊本県"くまモン"の大ヒットで便乗しようとした都道府県市町村が

イラストレーターに頼んで適当に作りました…みたいなのがあまりにも多すぎる。

まあ中にはおもしろいのもあるが….。

僕は新聞もTVもほとんど見ないので、中央区に「かもめん」というのがあることを最近知った。

可愛いとはとは思うが、これで街が活性化するというより幼稚園化するんじゃないか?

 

ひと昔前にはご当地ソングと呼ばれる~その町を舞台にしたラブストーリーで、地名が歌詞の中に盛り込まれた歌~がたくさん作られた。

1966年に「柳ケ瀬ブルース」(美川憲一)がヒットすると映画まで作られ、"柳ケ瀬"の歓楽街には全国から観光客が押し寄せたそうだ。

レコード会社はそれに目を付け地元の協力も得ながら、次々に日本全国のご当地ソングを発売していく。

ほとんどが酒場で流れるような夜のムード歌謡やソフト演歌路線だった。

もう今では "ご当地ソング" と呼ばないかもしれないが 1968年に「ブルーライト・ヨコハマ」(いしだあゆみ) が100万枚のミリオンセラーとなり、1971年には「よこはま・たそがれ」(五木ひろし)がオリコンチャートNo.1に輝き "ヨコハマ" の歌はジャンルを超えて次々にリリースされていった。

そんな中でも1977年の「ヨコハマ・ホンキートンク・ブルース」(藤竜也 作詞、エディ藩 作曲) はいろんな人に歌い継がれて今も王道を行く。

僕は昔から思っているのだが、横浜には歌になりやすい響きのいい地名や場所や伝説がいっぱいあるような気がする。

本牧、伊勢佐木町、馬車道、桜木町、チャイナタウン、山手のドルフィンもあれば、ハマのメリーさんもいる。

 さて同じ港町神戸となるとどうか?さすが観光都市…調べてみるとレコードはたくさん発売されていたが知らない曲が多い。

「そして神戸」(内山田洋とクールファイブ)や「ポートピア'81」(ゴダイゴ)が全国的にヒットしたくらいで、「神戸で死ねたら」(西田佐知子)とか隠れた名曲もあるが、知っている人は少ない。

神戸のご当地ソングレコードを何枚か持っているが、聞いてみると地味な曲が多かった。

 

港、タワー、波止場、元町、風見鶏…という定番の言葉は使われているが、どこにでもある港町の風景で、神戸らしさを感じさせない。

"サカエマチ"とか"ハナクマ"とか"シンカイチ"とか "オツナカ" という歌詞があってもいいと思うが、言葉のリズムが悪い。

言葉のリズムが悪いと、歌詞に乗りにくいし、歌いにくい。聞いていてどうもぎこちない感じがする。かんたんに言うと最近若い人たちが使う "ハンパナイ"みたいなもんか?

 

 まあ、横浜と神戸を比べてみても仕方がないが、

「横浜ホンキートンク・ブルース」に対抗できるのは (いや、対抗するのは大変失礼ですが)

1980年に発売された、森雄二とサザンクロスの「三の宮ブルース」くらいだろう。

まったくブルースじゃなくて、ムード歌謡なんですが...

「サンノミヤ」をこれほどリズムに乗せ、インパクトのある言葉にした曲は他にない。

僕は神戸のご当地ソング ナンバー1だと思う。

是非、ィヨコハマの "クレイジーケンバンド" にリメイクしていただきたいと切に願う。